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助成金「賃金UP要件、対象者以外にも配慮が必要!」(No.195)2019.2.7

皆様こんにちは!
社会保険労務士法人ことのは
中小企業診断士の山下典明です。


  • キャリアアップ助成金(正社員化コース)
  • 正社員転換前後6ヶ月で賃金5%UPが必要
  • 助成金(対象者)だけにフォーカスすると、全体のバランスを崩す

助成金を受給するためには、対象者の賃金設定重要です。しかし、対象者だけにフォーカスしてしまうと、周囲従業員を含む、全体のバランスを崩す結果になりかねません。その具体例を、以下に記します。


例)神奈川県のケース

・月平均所定労働時間「173h」

設定(正社員転換前6ヶ月)
・入社時、時給単価「983円」※神奈川県最低賃金
⇒月給「170,060円」※983×173h(切上)

設定(正社員転換後6ヶ月)
・5%UP、時給単価「1,033円」※983×1.05(切上)
⇒月給「178,710円」※1,033×173h(切上)


上記ケース、対象者だけにフォーカスすれば、何も問題なさそうです。。。そう、問題ありません。

しかし、周囲の他従業員に目を向けた場合、どうでしょうか?

例えば、入社当初から正社員であり、助成金を使わなかった方で、時給単価「1,000円」、この場合の月給は「173,000円」になります。つまり、助成金対象者6ヶ月後の賃金と比べた場合、助成金対象者の方が給与水準が高いという現象が生じます。

  • これは良いのか?公平なのか?

入社当初から正社員である方は、助成金対象者よりも勤続年数が長く、普通に考えれば業務熟練度も高いはず。とすれば、やはり不公平賃金設定であるケースが多そうです。

今後、同一労働同一賃金という働き方改革法も施行される中、「業務内容」ではなく「助成金」によりこのような不公平が生じることは、明らかにNGと考えるべきだと思います。

  • ではどうするのか?

助成金を第一に考えてしまうと、どうしても上記のような現象が起こりがちです。言わずもがな、人事戦略を第一に考えるべきです。全体のバランスを取った上で、助成金の利用を考える。

  • 助成金(対象者)だけにフォーカスすると、全体のバランスを崩す

一時の助成金受給(1名なら57万円)のために、全体のバランス崩してしまうと従業員士気の低下だけでなく、それに伴う人員流出までをも招く可能性があります。この危険性(リスク)が顕在化した際に被る損害(額)はどの程度でしょうか?一時の助成金受給(1名なら57万円)を軽く超えることは明らかです。例えば、従業員が売上・利益を上げるまで成長するのに3年かかるとすれば、そこに生じたコストは「月給×36ヶ月」、月給20万円だとすれば「720万円」です。これだけ資本投下した人材が、全体のバランスを崩したことがきっかけで退職するということが、どれだけ会社にとって損失であるかは、これで明らかになったと思います。

  • 助成金だけに意識を奪われないようにする。
  • 全体のバランスを踏まえた上で、助成金を活用する。

これがポイントです。助成金ご利用の際は、ご注意ください

 

中小企業診断士 山下典明



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