皆様こんにちは!
社会保険労務士法人ことのは
中小企業診断士の山下典明です。
- 賃金計算期間に17日以上の出勤日あり
- 上記月が3ヶ月以上あり
- 標準報酬に2等級以上の差異あり
「休業から回復・回帰した場合、元の標準報酬月額に戻す必要はあるのか?」
コロナ禍に伴い「休業」を余儀なくされている企業が多いと思います。コロナ感染者でない限り、上記「休業」に対しては「休業手当」(平均賃金6割以上かつ最低保障額以上)の支給が必要です。売上確保が困難な状況での「休業手当」支給となるため、資金繰りが厳しくなります。そこで国が工夫したのが「雇用調整助成金」要件緩和と「緊急雇用安定助成金」新設です。これらを利用することで、「休業手当」の大半は戻ってきているかと思います。
社会保険料については、「休業」に伴い総支給額が激減した場合、労働者同意を得た上で「特例改定」が用意されました。これを利用しない場合は、固定的賃金の変動はなくても、「休業手当」が連続4ヶ月発生している時点で「月額変更」により対応することになります。
さて、ここまでは、今回記事の前置きとなります。
- 休業状態から回復・回帰した場合、どうするのか?
例えば、全日休業から50%回復・回帰した場合、通常の賃金50%と休業手当50%を合算した額が総支給額となり、元の状態に近付くはずです。しかし、総支給額による2等級以上増加だけで判断はできません。
- 賃金計算期間に17日以上の出勤日あり
全日休業から50%回復・回帰したとしても、月所定労働日数「21日」であれば出勤日50%は「15日」程度ですので、上記条件を満たしません。つきましては、月額変更手続きは不要となります。
こちらに加えて、
- 上記月が3ヶ月以上あり
- 標準報酬に2等級以上の差異あり
という条件があります。これら全てを満たす場合、月額変更手続きが必要となります。
次に、休業状態から完全回復・回帰した場合はどうでしょうか?
ケース①:2等級以上の差異が生じる
⇒ 月額変更手続きが必要。
ケース②:2等級以上の差異が生じない
⇒ 月額変更手続きは不要。
さて、ケース②はどのような場合に生じるのかを、具体的にみていきましょう。
休業に伴い、6等級ダウンしたとします。その後、休業状態が大きく回復・回帰、上記3つの条件を満たしたことにより5等級アップ。さらに、休業状態が完全回復・回帰、総支給額が元に戻った場合、総支給額は6等級ダウン前の標準報酬月額相当になります。しかし、既に5等級戻っているため、差異は1等級しか生じません。よって、月額変更手続きは不要となります。
このような場合、固定的賃金変動による2等級差異の発生、または次年度の算定基礎届(定時改定)を待つことになります。
「休業から回復・回帰した場合、元の標準報酬月額に戻す必要はあるのか?」
この疑問は、コロナ禍から回復・回帰しつつある今、人事総務担当者が当然考えることだと思います。
- 賃金計算期間に17日以上の出勤日あり
- 上記月が3ヶ月以上あり
- 標準報酬に2等級以上の差異あり
休業・休業手当という特殊要素はやや存在するものの、考え方はいつもどおりです。
とにもかくにも、コロナ禍から解放される日が待ち遠しいです。
中小企業診断士 山下典明
横浜・みなとみらいの社労士事務所「ことのは」
〒220-8130
神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1 横浜ランドマークタワー30階
TEL:045-264-8970
FAX:045-264-8971
E-mail:info@sr-kotonoha.or.jp
Facebook:https://www.facebook.com/kotonoha.yokohama/
Twitter:https://twitter.com/sr_kotonoha