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社会保険「休職から育休へ、どこで切り替える?」(No.175)2018.12.27

皆様こんにちは!
社会保険労務士法人ことのは、
中小企業診断士の山下典明です。


  • 産前6週産後8週は産休、それ以降は育休
  • 傷病手当金出産手当金も支給額基準は同じ
  • 選択可能

まずは、基本的なところを確認しておきます。

  • 産前6週産後8週は産休、それ以降は育休

具体例1)出産予定日「翌年1月1日」

  • 産前産後休業「11月21日~翌年2月26日」
  • 育児休業開始「翌年2月27日~」

なお、実際の出産日が後ろにズレ込む場合、産前産後休業期間の終了日が後ろに伸びます。例えば、上記例において実出産日「翌年1月3日」であれば、産前産後休業期間は「11月21日~翌年2月28日」となり、これに伴い育児休業開始日は「翌年2月29日」となります。一方、早まった場合は、その逆となります。

なお、いずれのケースであっても、産前産後休業期間の開始日(11月21日)は固定されます。

さて、ここからは、タイトルについて具体例を交えながら記します。


具体例2)

  1. 8月1日から労務不能(医師証明)
  2. 8月1日から傷病手当金を受給
  3. 1月1日が出産予定日
  4. 産前産後休業「11月21日~翌年2月26日」
  5. 傷病手当金を受給しながら産前産後休業期間(産休期間)に突入

方法1:法定の産休期間に則る

  • 傷病手当金:8月1日~11月20日
  • 出産手当金:11月21日~2月26日

方法2:傷病手当金を使う①

  • 傷病手当金:8月1日~12月31日
  • 出産手当金:1月1日~2月26日

方法3:傷病手当金を使う②

  • 傷病手当金:8月1日~1月31日
  • 出産手当金:2月1日~2月26日

方法4:傷病手当金を使う③

  • 傷病手当金:8月1日~2月26日
  • 出産手当金:使わない

このように、どちらか一方を使う選択が可能です。但し、傷病手当金の場合は「労務不能」であることの医師証明が必要となります。

さて、何故、上記のような方法1~4を記したかというと、場合によって受給額に差が生じるためです。「傷病手当金出産手当金」、どちらも基準となるのは「支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額」です。そして、1日あたりの金額は、これを「30日」で除算、さらに3分の2を乗じて得られる結果となります。

「支給開始日の以前12ケ月」という考え方ですので、

  • 傷病手当金(8月1日~受給)
    ⇒ ① 前年8月~7月の12ケ月
  • 出産手当金(11月21日~受給)
    ⇒ ② 前年12月~11月の12ケ月

標準報酬の平均が高い方が、より多く受給できることになります。

  • 定時改定(算定基礎届)により9月分保険料改定

例えば上記タイミングで「高くなる」のであれば②の方が良い、「低くなるならば」①の方が良い、ということになります。文字で書くと難しいので、、、

例)「高くなる」ケース

対象月  :標準報酬
────────────
2017.08月:300千円 
────────────
2017.09月:340千円 ①
2017.10月:340千円 ①
2017.11月:340千円 ①
2017.12月:340千円 ① ②
2018.01月:340千円 ① ②
2018.02月:340千円 ① ②
2018.03月:340千円 ① ②
2018.04月:340千円 ① ②
2018.05月:340千円 ① ②
2018.06月:340千円 ① ②
2018.07月:340千円 ① ②
2018.08月:340千円   ②
────────────
2018.09月:360千円  
2018.10月:360千円  
2018.11月:360千円  
2018.12月:360千円

この場合、、、

  • ①の平均「336.66千円」
  • ②の平均「345.00千円」

となり、②の方が高いので、上記「方法1」で切り替えた方が若干お得(約185円/日)です。1日あたりだとあまり差を感じませんが、、、これに30日を乗ずると「5,550円」となり、ちょっとした手当程度にはなります。

このように、「傷病手当金」と「出産手当金」の選択肢がある場合、過去の標準報酬を(MS-Excelシート等に)ズラッと並べてみて、比較してみると良いでしょう。「標準報酬月額」が大幅に乱高下している場合は、かなりの差になるケースもありそうです。極端な例をあげるならば、例えば1等級から50等級に上がった場合です。「58千円」から「1390千円」になるわけですから、引き上げ後の算出期間が2~3ヶ月であったとしてもかなりの差になります。その逆、「1390千円」から「58千円」になる場合は引き下げ後の2~3ヶ月を入れない工夫をした方が得ということになります。

ちょっとしたことではありますが、、、知っておくと良いかなと思います。

参考ページ:協会けんぽ

中小企業診断士 山下典明


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