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給与計算「通勤手当、上限額、非課税・課税、どうする?」(No.201)2019.2.20

皆様こんにちは!
社会保険労務士法人「ことのは」
中小企業診断士の山下典明です。


● 質問1:通勤手当は、どのような取り決め(規定)に基づき、支給していますか?

● 質問2:通勤手当は、課税分の算定は行っていますか?


  • 通勤手段を確認
  • 支給上限額の設定は企業側が決められる
  • 自家用車や自転車ならば距離を確認
  • 非課税限度額は国税庁により定められている

通勤手当、公共交通機関を利用する場合は、1ヶ月定期券代、出社日数×往復運賃、このような形で支給することが多いかと思います。自家用車を利用する場合は、(少し面倒ですが)距離に応じた燃料代を支給、又は一律○○円とする場合が多いかと思います。そして、これを「非課税交通費」として計上している場合がほとんどかと思います。

しかし、決して「通勤手当非課税」ということではなく、通勤手段別に「非課税限度額」が設定されています。これを超える場合は、超過分が「課税」対象となります。この「非課税限度額」は、国税庁により、その定めが公開されています。



国税庁HP「通勤手当の非課税限度額の引上げについて」(平成28年4月)
https://www.nta.go.jp/users/gensen/tsukin/index2.htm

上記表をみると、①~④、4つに区分けされています。


①交通機関又は有料道路を利用している人に支給する通勤手当

②自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当

③交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券

④交通機関又は有料道路を利用するほか、交通用具も使用している人に支給する通勤手当通勤用定期乗車券


・・・なんだかヤヤコシイですね。

簡単にまとめてしまうと・・・


  • 自動車や自転車の交通用具だけを利用
    ⇒ ②
  • それ以外(公共交通機関と交通用具の組み合わせ)
    ⇒ ① ③ ④

ということになります。

①③④に該当する場合

  • いずれも限度額「150,000円」
  • これを超える通勤手当が支給されることはレアケース。
  • 通勤手当非課税」と読み替えても、ほぼ問題なし。

②に該当する場合

  • ①③④の限度額に比べてかなり低め

例えば、②の場合、非課税限度額の最高額は「31,600円」であり、これに該当するのは「通勤距離が片道55km以上」です。「通勤距離が片道2km以上10km未満」は「4,200円」です。よって、②に該当する場合、「通勤手当非課税」ではなく、「通勤手当非課税課税」と捉えるべきです。


とはいえ・・・

自動車や自転車通勤の方に「通勤手当」を支給する場合、細かく「km数と燃料代」により算出して支給するのは面倒なので、「一律支給」とすることもあるかと思います。そして、その額は、公共交通機関利用者とのバランスを考慮した設定、「5,000円~10,000円」あたりが多いのではないでしょうか。

仮に「5,000円~10,000円」と設定した場合、、、厳密に言えば「課税非課税」が生じていることも多く、その結果、税金の「回収モレ」「過少申告」につながります。

「通勤距離が片道2km以上10km未満」に該当する方で、通勤手当一律「10,000円」支給されているならば、非課税4,200円」・課税5,800円」であり、税金の「回収モレ」「過少申告」は課税「5,800円」分ということになります。

正しくは、厳密に設定・管理・支給ということになりますが、「国税庁が、各従業員の通勤手段・経路・距離を測り、正確な通勤手当を割り出し、税金の過少申告分を算出するのか?」といえば、実務上そこまで行うのは困難であると言わざるを得ません。それならば、「気にしなくても良いんじゃないの?」との意見もありそうです。

厳密に管理・支給をすべきだとは思います。しかし、どう考えどう対処するかは、事業主の考え・事務処理効率(コスト)・職場の雰囲気などの要素が、関係します。もし「気にしなくても良いんじゃないの?」というスタンスを取るのでしたら、上記のようなリスク(税金の過少申告)を抱えているということだけは、忘れないようにしましょう。

中小企業診断士 山下典明


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