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労使協定「36協定の効力範囲と注意点」(No.215)2019.4.19

皆様こんにちは!
社会保険労務士法人「ことのは」
中小企業診断士の山下典明です。


  • 役員は範囲外
  • 管理監督者は範囲外
  • 労働時間管理は必要(安全配慮義務)
  • 月45時間、年360時間、落とし穴

当たり前かもしれませんが、役員管理監督者には、36協定の効力はありません。時間外・休日労働が適用されない(労働基準法第41条第2項)ため、そもそも36協定の土台にのりません。よって、36協定に記載する「労働者人数」へは、役員及び管理監督者を含まない人数を、記載することになります。

なお、深夜労働(22:00~翌5:00)については、時間外・休日労働とは異なる次元の話であり、雇用契約を締結している全員に適用されますので、ご注意ください。

  • 労働時間管理は必要

管理監督者が時間外・休日労働の適用を受けずとも、労働時間を把握、管理しておく必要があります。確かに、通常9時出社のところを10時出社する管理監督者もいるでしょう。それならば、始業10時~終業18時といったように記録を残します。もちろん、24時まで働いたのであれば、始業10時~終業24時との記録を残します。なお、後者の場合、22時~24時、計2時間が深夜労働扱いとなり、割増賃金(0.25)が発生しますので、給与計算時には注意してください。

また、労働時間管理を行うことで、「適度な労働」「過度な労働」といった具合に、「どれだけ働いているのか」が明確になります。例えば「過度な労働」である実態が浮き彫りになれば、それを改善していく必要があります。

  • 時間外・休日が適用されないのにナゼ?

会社は、管理監督者といえど雇用契約を締結していますので、「安全配慮義務」があります。万が一、「過度な労働」がたたって入院、休業という事態になった場合は、「安全配慮義務違反」を問われることになります。ここを起点として、労基署が調査に乗り出す可能性があります。

過度な労働」実態が把握できたならば、まずは対象者に対して休息や医師面談をすすめ、次に働き方を改善していく必要があります。管理監督者だからといって、労働時間を放置しておくと、よからぬ事態を招く結果となりますので、ご注意ください。

  • 36協定締結後、管理監督者が一般社員になった(又はその逆)

この場合、36協定締結時には、管理監督者は効力の及ぶ範囲外でしたが、一般社員になったことで、効力が及ぶことになります。逆の場合は、効力の及ぶ範囲外となります。このような場合に「36協定の再締結が必要なのか?」という質問を受けることがありますが、その必要はありません。次回(1年後)締結する際、その時の実態に合わせて締結すればOKです。

  • 月45時間、年360時間、落とし穴(通常の36協定)

時間外労働「月45時間以内に収めればOK!」との認識を抱いている方は多いのですが、、、年360時間という認識は薄いようです。仮に、月45時間ピッタリの時間外労働をしたとすると、単月ベースではOKです。しかし、これを12か月続けたらどうなるでしょうか?

45時間×12ヶ月=540時間/年 > 360時間/年

はい、かる~く上限を超えます

平均:360時間÷12ヶ月=30時間/月

である必要があります。

月45時間を目標値とするのではなく、本来は月30時間とすべきところだと思います。この15時間、結構大きな時間です。皆様でしたら、この15時間、どうやって削減しますか?


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中小企業診断士 山下典明


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