皆様こんにちは!
社会保険労務士法人「ことのは」
中小企業診断士の山下典明です。
前提条件「有期雇用、3年以上、複数回更新、雇止め」
○ 直前の契約更新時に雇止め通知「あり」
⇒喪失原因「2」自己都合等(※)
○直前の契約更新時に雇止め通知「なし」
労働者からの更新延長について希望する申出の有無
⇒希望する・・・喪失原因「3」会社都合
⇒希望せず・・・喪失原因「2」自己都合等
⇒申出なし・・・喪失原因「3」会社都合
(※)ここでいう「自己都合等」とは、喪失原因「1」「3」以外を指すものであり、必ずしも「自己都合退職」を意味するわけではありません。
有期雇用契約者の雇止めをする場合、喪失原因「3」会社都合となる可能性があります。労働者側にとっては給付制限がなく待機7日で失業等給付を受給できるのですが、会社側にとっては望しくない結果を招く可能性があります。
喪失原因「3」会社都合により、助成金の一時的な受給停止または減額が生じます。昨今のコロナ禍において、雇用調整助成金等を利用なさっている事業所は多いかと思います。こちらについては減額措置が取られることになります。休業人数が多い事業所等では、大きなマイナスとなる可能性があります。その他、キャリアアップ助成金(正社員化コース)等も、不支給の原因となります。
以下、離職理由についてみていきます。
※離職証明書の右側「離職理由」(抜粋)2020.10.22時点 download
- 直前の契約更新時に雇止め通知「あり」
この場合は、喪失原因「2」自己都合等になります。たとえ、期間満了間近になり、労働者側から更新延長の申出があったとしてもです。
- 直前の契約更新時に雇止め通知「なし」
実際には、契約更新時には「条件により更新する場合がある」という記載が多いかと思います。この場合には注意が必要です。
3年以上の有期雇用契約は、無期同等と見なすことになります。したがって、そもそも「契約の更新延長」という考え方自体がナンセンスということになります。ここがポイントです!
- 希望する・・・喪失原因「3」会社都合
正社員や無期契約社員の雇用契約を、会社側から契約解除することと同じとなるため、会社都合による退職と見なすようです。
- 希望せず・・・喪失原因「2」自己都合等
対象者自らが契約更新を希望しないのですから、自己都合等と見なされます。
- 申出なし・・・喪失原因「3」会社都合
上記2つは分かりやすいのですが、「申出なし」の当ケースに要注意です。「申出なし」=「希望せず」との解釈は、会社側の主観的判断です。対象者は無期同等、「契約の更新延長」という考え方自体がナンセンスという視点に立てば、「希望する・しない」ということ自体もナンセンスです。
「希望する・しない」を問えば、「希望する」と答えるであろう対象者には聞きにくいでしょう。しかし、聞かなければ「申出なし」となり、結局は喪失原因「3」会社都合になってしまいます。つきましては、十分な話し合いを行うしかありません。
なお、このような状況を回避するために、契約締結時に「次回更新しない」とすることが考えられます。しかし、契約解除が予定されている状況、対象者のモチベーション維持は難しいはずです。そうなると、対象者に任せる仕事を考える必要が出てきます。
中小企業診断士 山下典明
横浜・みなとみらいの社労士事務所「ことのは」
〒220-8130
神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1 横浜ランドマークタワー30階
TEL:045-264-8970
FAX:045-264-8971
E-mail:info@sr-kotonoha.or.jp
Facebook:https://www.facebook.com/kotonoha.yokohama/
Twitter:https://twitter.com/sr_kotonoha