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雇用保険「離職票、複数月定期代の注意点」(No.157)2018.11.26

皆様こんにちは!
社会保険労務士法人ことのは
中小企業診断士の山下典明です。


  • 按分が必要
  • 清算分減算して按分
  • 清算分不明ならば退職日迄の6ヶ月分は「未計算

離職票作成、退職日までに支払われた総支給額を、記載します。この総支給額には、通勤手当も含まれます。複数月、例えば6ヶ月定期券代が支給されているのであれば、原則、これを1ヶ月分に按分します(※これをしないと、ハローワークから問い合わせの電話が99.9%以上の確率でかかってきます)。

それでは、6ヶ月定期券代(4月1日~9月末分)が支給されていると仮定して、以下ケースを考えてみましょう。


● 退職日:7月末
● 定期券:60,000円


その1.
6ヶ月定期券代の「清算なし」の場合

  • 4月1日~7月末、4ヶ月で定期券代を按分、15,000円/月の「通勤手当」となります。

その2-①.
6ヶ月定期券代の「清算あり」の場合(確定済

8月1日~9月末、2ヶ月分(20,000円)の払い戻し、会社への返金をすると仮定。

  • 60,000円から返金分(20,000円)を差し引いた40,000円を、4ヶ月で按分します。
  • 4月1日~7月末、1ヶ月あたりの「通勤手当」は10,000円となります。
  • 添付する賃金台帳には、2ヶ月分について払い戻し・返金の旨を記載します。

その2-②.
6ヶ月定期券代の「清算あり」の場合(未確定

8月1日~9月末、(額は未定)払い戻し、会社への返金をすると仮定。

  • 按分する分母(額)が未定のため、計算不可
  • このため、離職票への賃金記載はできません。
  • 各月「未計算」と備考欄へ記します。
  • 最終賃金(清算額)が確定した後、賃金台帳を別途送付します。

なお、この場合は失業等給付を受ける時期が遅くなる可能性が高いため、なるべく早めに清算をしてあげた方が良いです。よって、前述「その2-①」の計算ができる状況を整えるようにしましょう。


  • 公共交通期間の返金手続きルールを確認しておく

定期券代は、思惑通りに公共交通機関から返金されるとは限りません。場合により、返金不可であることもあります。例えば、6ヶ月定期券で3週間残りなどは、返金不可であるケースがほとんどです。よって、これを「諦める」のか、それでも「日割り分を清算する」のか、自社ルールを決めておく必要があります。

例えば、4月1日~9月末までの6ヶ月は「183日」、そして4月1日~7月末までは「122日」です。したがって、「通勤手当÷183日×122日」とする、このような計算方法をルール化しておけば、半端になる箇所も明確になります。


  • 「賃金規程」に「清算方法」を明記しておく
  • 「労使協定」に「賃金控除」を明記、締結しておく

「日割り分を清算する」のであれば、「賃金規程」等に「清算方法」を明記、更に最終賃金から控除するために「労使協定」を締結する必要があります。まぁ、「最終賃金」計算時と「離職票」作成時、手間が増える事にはなりますが、、、。


  • 「賃金控除」することを伝え、速やかな「返金手続き」を促す

清算が可能であったにも関わらず、、、退職者が公共交通機関で返金手続きを怠った場合、、、これは労使協議の上で決定するようにするのが無難です。少なくとも、最終賃金で控除することを伝えておくことは、忘れないようにしたいところです。


このように、複数月定期券代を支給している場合は、離職票作成において注意が必要です。そして、離職票作成を滞りなく実施するためには、自社ルールが明確されていなければなりません。さらに、離職票作成をめぐった労使トラブル回避するためには、ルール周知が徹底されていること、できれば退職者への説明を行うこと、これらを徹底しておきたいところです。

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中小企業診断士 山下典明


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