皆様こんにちは!
社会保険労務士法人ことのは
中小企業診断士の山下典明です。
- 按分が必要
- 清算分は減算して按分
- 清算分不明ならば退職日迄の6ヶ月分は「未計算」
離職票作成、退職日までに支払われた総支給額を、記載します。この総支給額には、通勤手当も含まれます。複数月、例えば6ヶ月定期券代が支給されているのであれば、原則、これを1ヶ月分に按分します(※これをしないと、ハローワークから問い合わせの電話が99.9%以上の確率でかかってきます)。
それでは、6ヶ月定期券代(4月1日~9月末分)が支給されていると仮定して、以下ケースを考えてみましょう。
● 退職日:7月末
● 定期券:60,000円
その1.
6ヶ月定期券代の「清算なし」の場合
- 4月1日~7月末、4ヶ月で定期券代を按分、15,000円/月の「通勤手当」となります。
その2-①.
6ヶ月定期券代の「清算あり」の場合(確定済)
8月1日~9月末、2ヶ月分(20,000円)の払い戻し、会社への返金をすると仮定。
- 60,000円から返金分(20,000円)を差し引いた40,000円を、4ヶ月で按分します。
- 4月1日~7月末、1ヶ月あたりの「通勤手当」は10,000円となります。
- 添付する賃金台帳には、2ヶ月分について払い戻し・返金の旨を記載します。
その2-②.
6ヶ月定期券代の「清算あり」の場合(未確定)
8月1日~9月末、(額は未定)払い戻し、会社への返金をすると仮定。
- 按分する分母(額)が未定のため、計算不可
- このため、離職票への賃金記載はできません。
- 各月「未計算」と備考欄へ記します。
- 最終賃金(清算額)が確定した後、賃金台帳を別途送付します。
なお、この場合は失業等給付を受ける時期が遅くなる可能性が高いため、なるべく早めに清算をしてあげた方が良いです。よって、前述「その2-①」の計算ができる状況を整えるようにしましょう。
- 公共交通期間の返金手続きルールを確認しておく
定期券代は、思惑通りに公共交通機関から返金されるとは限りません。場合により、返金不可であることもあります。例えば、6ヶ月定期券で3週間残りなどは、返金不可であるケースがほとんどです。よって、これを「諦める」のか、それでも「日割り分を清算する」のか、自社ルールを決めておく必要があります。
例えば、4月1日~9月末までの6ヶ月は「183日」、そして4月1日~7月末までは「122日」です。したがって、「通勤手当÷183日×122日」とする、このような計算方法をルール化しておけば、半端になる箇所も明確になります。
- 「賃金規程」に「清算方法」を明記しておく
- 「労使協定」に「賃金控除」を明記、締結しておく
「日割り分を清算する」のであれば、「賃金規程」等に「清算方法」を明記、更に最終賃金から控除するために「労使協定」を締結する必要があります。まぁ、「最終賃金」計算時と「離職票」作成時、手間が増える事にはなりますが、、、。
- 「賃金控除」することを伝え、速やかな「返金手続き」を促す
清算が可能であったにも関わらず、、、退職者が公共交通機関で返金手続きを怠った場合、、、これは労使協議の上で決定するようにするのが無難です。少なくとも、最終賃金で控除することを伝えておくことは、忘れないようにしたいところです。
このように、複数月定期券代を支給している場合は、離職票作成において注意が必要です。そして、離職票作成を滞りなく実施するためには、自社ルールが明確されていなければなりません。さらに、離職票作成をめぐった労使トラブルを回避するためには、ルール周知が徹底されていること、できれば退職者への説明を行うこと、これらを徹底しておきたいところです。
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中小企業診断士 山下典明
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