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給与計算「最低賃金UPでチェックすること③」(No.119)2018.8.31

皆様、こんにちは。
社会保険労務士法人ことのは
中小企業診断士の山下です。

さて、前回記事の続きです。


検討するポイント

  • CHECK:賃金引き上げの時期リンク
  • CHECK:賃金引き上げの対象リンク
  • CHECK:賃金引き上げの理由リンク
  • CHECK:時間外や固定残業代(← 今回の検討する内容)
  • CHECK:キャッシュアウト増(← 今回の検討する内容)

最低賃金の引き上げに伴い、時給や月給について給与改定を実施。

これで問題なし、と言いたいところですが、、、あと一歩です。

  1. 時間外単価のチェック
  2. 固定残業代のチェック

1.時間外単価のチェック

給与計算ソフトなどへ、時間外単価固定値として登録している場合、変更しなければなりません。時給であれば、さほど手間のかかる作業ではありませんが、月給の場合は計算が必要です。とはいうものの、最低賃金に抵触するかどうかをチェックした際、時間単価を算出しているはずです。給与計算ソフトなどへ、この時間単価をベースに設定しましょう。

2.固定残業代のチェック

見落とされることが多い気がします。固定残業代が○○時間で5万円であったとします。給与改定に伴い、時間単価が上昇しますから、固定残業代も上昇させなければなりません。なお、固定残業代には、パラメータが2つあると考えられます。1つは「金額」、もう1つは「時間」です。これを踏まえれば、必ずしも固定残業代を上昇させなければならない訳ではありません。


◎ POINT:どちらを固定して対応すべきか?


  • 金額」を固定すると「時間」が減少、時間外労働管理煩雑になる。
  • 時間」を固定すると「金額」が上昇、キャッシュアウト上昇する。

パラメータ1「金額」固定

この場合「時間」が変動することになります。具体的には、給与改定前は「40時間」であったものが、「35時間」になるといったケースです。これを適用するならば、給与改定と同時に、固定残業時間変更されることを従業員へ通知、給与辞令に記載するなど、対応が必要です。また、時間外労働の管理についても変化が生じます。今迄は「40時間」以上を超過残業としていたものが、給与改定後は「35時間」以上となるため、注意が必要です。現場管理者への周知徹底運用面への配慮が肝要となります。これを怠ると「未払い残業」が発生する要因ともなります。

人件費絞れるとは思いますが、その分、管理コスト上昇すると考えて良いでしょう。一方、考え方によっては、固定残業時間を減らすことになり、時間外労働を是正・改善働き方を変えていく機会として捉えることもできると思います。

パラメータ2「時間」固定

この場合「金額」が変動することになります。「金額」固定の時と異なり、時間外労働の管理はこれまでと変わらず、現場に変化が及ぶことは少ないと思います。しかし、キャッシュアウト増加することになります。給与改定に伴う「人件費シミュレートをする際、こちらが含まれていないケースを見受けます。当然のキャッシュアウトなのですが、不測のキャッシュアウトとならぬようにしたいところです。

以上を踏まえ、

  • 管理費を考慮するならば、「時間」固定とする。
  • 人件費を考慮するならば、「金額」固定とする。

というのが、最低賃金の引き上げを、単純に捉えた場合の方針になるかと思います。

これに「働き方の改革」「時間外労働の是正・改善」といったことを加味すると、「管理費」「人件費」のバランスを考えながら、「金額」「時間」、2つのパラメータを「変化」させていくことになります。極論、会社方針をどうするのか、というところに行きつくのではないでしょうか。

ご相談事がございましたら、お気軽にご連絡いただければと思います。

中小企業診断士 山下典明



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